austlaria


名古屋から8時間後闇夜の雲海に一筋明かりが見えた。やがて周囲が見え始め見慣れた町並みを
みることになった。


オーストラリアの通関は比較的易しい食い物や虫以外はであるが
もしダンボールの箱なんぞ持っていったひには別室送りか?
もしくは全てを職員の目に晒すことになる。まあこれも英語に疎い
日本人に対する一つの試練とも言うべきものかもしれない。
鎌田君がそれが原因で別室送りになろうとしたが最終的には
なんという事もなく国内線の待合室に行く

国内線のYSでガルプの先端左側に位置するウェいパに飛ぶのだが途中に見える景色がまた
なんともいえない。
陸路800キロのダートがジャングルに一直線に伸びているだけで他は何も無い
たまに牧場のようなものやな何かのプラントがある程度である、今は乾季であり
至る所にブッシュファイヤーの炎と煙が見えた。所々に川または川のような溝が見える。
雨季には水で覆われる地表もなんだか砂漠のような印象さえ受ける。
約3時間後ようやく目的の空港に到着である。


ウェイパといえば世界有数の
ボーキサイトの鉱山があることで知られている。田舎町ではあるが住民の平均年収は
非常に高い。ただし白人の話である。アボリジニ達の間では未だになにかくすぶっている感が見える
そんなこととあんまり関係ない我々はアルバトロスホテルに2年連続で宿をとる。


はっきり言っていいところがまったく無いホテルであるが若干メンバーのなかに
好きなものがいるというあたりが主な要因なのであるが、見て判るようにホテルの前が
釣り場というだけの話である。そのお陰で今回も相変わらずの不味くていい加減な
受注で最後の最後まで釈然としない夕食を摂らされた。来年こそは自分で夕飯を作ろう。

初日は運良くひいていたので結構な数の魚が釣れた。飛行機から見ても判るが超遠浅である。
このあたりは昔は海だったとおもわれる。福岡の水城と同じで1000年スパンで見ればそうだったであろう。
そんなことを思いつつ60mほど飛ぶルアーを用いて表層を滑らせつつ魚を釣る。
クイーンフィッシュが7にスレッドフィンサーモンが3の割合でヒットしてくる。

ところでココにはちょっと危険な生き物がいるそうワニである
いたるところにワニ注意の看板が出ている。ちょっと前までは雨季になると町を練り歩く
ワニの姿が有ったらしい。ココに通って10年以上経過しているが当初も今も陸から魚を釣る
釣り人の多くが岸から3m以上、そうでなければ高い岩のうえからの釣りを行っている。
確かに釣りをしていてたまにワニを見るが結構動きは早いおかっぱりでティンバーの
上から魚を釣ることが有るが下にもしワニがいて「こいつ食えるかな」などと考えていたとしたら
ちょっとした油断が彼に1月分の食料を渡す事につながりかねない。


おかっぱりを早々と切り上げ翌日の準備を行う。なんともいえない夕食を食べそして翌朝。
船に乗って釣りである。やはり危険動物もいるし手っ取り早く釣るにはボートしかない
出来ればレンタルボートがあれば更に問題解決好き勝手に行くのみである。
ここも最近は混んできた次なる場所を探さなければならないと思えるぐらいである。


さすがに10年も経過すると近くの川ではそんなに釣れなくなった
ガイドにミッションリバーやハイリバーはどうだと聞くとあまりいい感じの返事が無い。
例えばこういった感じである、「10匹のバラマンディを釣るならミッションでもいいだろう
だがそれ以上を望むなら遠くにいく必要がある」。そういうことである。因みに10匹とは
一隻のトータルの数字である。詩人でも哲学者でもなければ
遠くに行きなさいという意味に取れた。

船は1時間全速で海岸を走り赤い断崖に着いた彼らのボートは18−24ftの小型の船であるが
恐ろしく早い。特に海面がフラットな時にはバスボート並みのスピードが出ている。
バラマンディは汽水での釣りが殆どではあるが海にもそれは居る。海水の方が
力も強く大きいらしい。しかし釣るのは難しいとの事だった。何故なら
水がクリアーだからである。日本のアカメつりのように夜間の釣りでは140センチクラスが
釣れる事は珍しくないはないとの事だった。ケアンズのピアーの横でも実際
でかいバラが釣られているらしい。

ボーキサイト層が地表に堆積している。赤褐色の色はつまりこの鉱物の色ということになる。
ミネラルの蓄積でそういった鉱物資源がここに埋蔵されたということらしい。
崖から落ちてきた礫の周りに濁りが出来そこに魚がたまっている。
3月に着た時には壁の穴から水が飛び出すようなかたちであちこちに湧き出していた。
その水量を思えば川の無い汽水域と呼ぶのも案外外してはいない表現だろう。

早速にヒットであるがバラマンディではない。これが日本ならこいつを海に返すことなど
有りはしないと思うのだが若干やせ気味なのがちょいと気になる。刺身はやめた方がいいかもしれない。
今回、実は帽子で散々悩んだキャップに適当な色のものが無かったのが原因である。
灼熱の日差しのなか白っぽくない帽子を被るとちょっと辛いことになる。しかも首の後ろにいたっては
猫背の私にはお天道様に対して完全無防備状態なのでいつも最悪である。
勿論サンスクリーンを塗ってはいるが
猛スピードの移動時に風で襟が暴れてすっきり拭き取った状態になるので意味が無い


更に船は小一時間はしるという、まあ寄り道しつつゆっくり行くことにした。さすがにここまで来ると
魚影が濃い。ストレートな海岸線に時折50m程せり出した岩場が出現する。そうした場所を
チェックするのである。当然ながら入れ食い状態になる。魚はGTやクイーンフィッシュそれに
ロックフィッシュが混ざる。クイーンフィッシュひきはシイラをもっと小回りにして鋭くした感じである。
4キロクラスになるとめちゃめちゃその凶悪さを発揮する。大体バスロッドにちょいと毛が生えた程度の
ロッドであがる魚というのは早々多くは無いのが現実である。ましてや日本ともなるとシーバス
か草魚あたりしかいない。それに恐ろしくひく魚たちがこぞってヒットするわけなので竿には
相当なストレスがかかるはずである。例によって本日も別働隊がツナフィッシングに行っている。
ツナといえばサメとセットになっている場合があり、昨年も3本のロッド及び1個のリールがブレイク
した。500gから300キロの魚迄一本のロッドでやるしかないのである。今回もまたGTジギング
の外道にでっかいサメがアタックしてきたらしい。


そしていよいよ川についた今まで行った事の無い川であるノーマンクリークと呼ばれていた。
川は特に支流もなく一本の普通の河川だった、

ガイドの運転で川に全速で入ってゆく。
ゆっくりとした川の流れで作られた川なので蛇行が著しい。川幅は一見して広いが
浅場が多く潮の影響で掘れたチャンネルを探して操縦しなくてはならない。
ところでこのガイド下世話な話だがガールフレンドが私たちが飯を食うレストランにいるらしく
これから毎晩会うことになろうとは私たちは知らなかった。外人といえば天使のような
顔立ちのウエイトレスには未だ一度しか会っていないまあ別に何かあるわけでもないが
大抵は日本でも良く見る小太りなのにヘソ出したり尻だしたりする系統が殆どである。
何を食べるにしてもボールいっぱい食ってればそうなるのもうなずける。特筆すべきは
恐ろしいばかりの甘さを誇るデザートの数々である。こればかりはとても食えない。
味付けに関して濃い味付けを嫌う傾向に有るにもかかわらずこの甘さは一貫性を感じない。


この釣りのコツはタイトに投げること船は常にポイントの前を一定のスピードで横切るかたちで流すことになる。
そのため前から順にポイントをキャストすることになるが。ポイントに入るかどうかがヒットの鍵となる。
確かにファーストキャストは魚に対して有効に働くが既にナーバスになっている魚にはキャスティングの精度がモノを言う。

ただセカンドキャストとサードキャストでも釣れないことは無い。より魚の住処に近く打てば良いのである
4日間殆ど3番目で釣りをしていたが魚は結構連れた。何より4番目のガイドが魚を釣れないようにするのが
私の目的だからである。オーストラリアの有名なガイドはやはり魚を釣ることに秀でている。この国に
旅をするようになってから自分の未熟さを痛感することしばしばであった。今もそうである。いつまでも
切れる刀のような釣り人でありたいと思っている。その為の鍛錬の場所といっても過言ではない。
魚が釣れない場所での鍛錬は時に伸び悩む場合がある。全てにそうだが楽しい体験こそが
その人にとって自己を伸ばす最良の薬となるはずである。楽しさの中の苦しみと戦い
克服しそれを楽しみに変える。あまりそれが楽しすぎて何回も来ることになるわけだが。

フィンガーマークオーストラリア人が最も好んで食する魚。
キャストを上手くなるにははやり弾道の制御しかない基本的に2番目3番目はサイドでルアー
を振ることが出来ないのでオーバスローで狙うことになるが精度さえあれば別に困ることは
殆ど無い問題はいかに入れられるかということであってどういう風に竿を振るかではない。
垂らしを制御して肩越しに低い弾道でしかもまっすぐ打ち込めばたいがいのポイントに入る。
入るというのはレベル的に30センチ以下の話である。別にジュース缶に100%で当てろという
意味ではない。ポイントは次々に変わる殆んどの釣り場でセカンドキャストを同じポイントには打てない。
そういった意味合いでベストな場所の30センチ以内というのはある意味難しいといえると思う。
因みに距離も40m−5mと著しく換わる。つまり山女魚つりのようなものだと思えば良い。


マングローブジャックこのあたりでは最も凶悪なファイトをする魚ヒット直後からストラクチャーにストレートに入ろうとする
おまけに力が強いこのサイズなら問題ないが2キロクラスになるとかなり強烈。
そのやり方で一日ずーっとやれれば楽しいのだがそうは行かない干満の差があって上に行ったら降りて満ちればまた上に行って
といったことを繰り返さなくてはならない。ただ同じポイントに1日2回行くことは先ず無い、どちらかというと
じっくり叩かせるというよりさらっと触る程度といった感がある。基本的に魚を持ち帰らないことが多いこの釣り場は
ルアーというものを認識している魚が多いと考える方が順当だろう。、

バラのみのカウントで10匹前後釣ったあたりで昼飯になった。基本的にはジュースと飯はついている
船によってはコーヒーブレイクもある私もどちらかといえば休み休みのほうが釣りに集中できていい感じがする。
基本的に投げなければ魚は釣れないそれは間違いではない。実際ルアーが水につかっている時間は人より
長い方である。ただ現場の空気を感じて適当に休むようにしている。釣りとは科学的である一方
霊的な一面も持っている。その人が持つもしくは感じる気配がさかなを持ってきたように感じたことは無いだろうか?
私は幽霊を信じない人間だが不思議な程にふと魚に出会うことがある。まあそれも人それぞれに有ると思う。
ただ感じてそこに投げる事で結果が出てしまう事がある。
これがまったく無い時がたまにある。そういう時休む必要を感じるのである。ガイドの釣りというものの中にも
それは有る、ガイドは勿論過去のデータに基づいた判断を元にスケジュールを組んでいる。
しかし、神ではなく人なのである。彼の思惑は理解できても必ず全てが魚に通じるわけではない
だからこそその匂いを嗅ぎ分ける必要があるのだ。

昼飯時マングローブカニのコロニー発見ついに捕獲という状況だっただが思いのほか
サイズがあがらず全てリリースした。いやマジで。


昼飯の後GT狙いのオフショアー組と合流した。彼らのランチを見ながら状況を聞いてみる。
まさにサメの猛攻にあってまともに魚釣ったのはシビ回収ロッドを持参していた新川裕次郎のみだった。
やはり恐ろしい場所である。例えばである。岸から100m以内の6−7mでジギングしたとする。
当然30g以下のジグを使うのだが落とせば直ぐにかかる。問題はそこからでするすると魚をあげて
水面でバチャバチャさせると後ろから茶色い3mぐらいのサメが襲い掛かってくるのである。
ということは船から落ちてもライジャケ着ているからといって安全とは限らないということになる。

海岸線の釣りを繰り返しながらまた2時間の道のりをボツボツ返す。ガイドにポールによってくれと
お願いした。そしてバラ初心者でバラボーズの鎌田慧に大きな魚がヒットである。
魚は平たい感じの引きであるが何の魚かは判らなかった。ここで釣れるのはゴールデントレバリーが
多いがここにおいてデカイサメやGT、マッカレル等も可能性のあるターゲットと数えることが出来る。しかし
この魚は案外ゆっくりなのでサワラやシビの類ではない。最初にここに来た時12ポンドのナイロンで
水面になにやら不穏な動きがあったのでミノーの前のフックにラインをかけて水面を滑らせたらヒットした
クイーンフィッシュと思っが魚種変換したのか?それともそのままそうだったのか?13mの深みを
ゆっくりと魚は走り20分後ラインが切れた。いったいなんだったのか?未だなぞのままである。

鎌田君ご苦労様。



何回も言うがオージー大好きフィンガーマーク。良いサイズでしかも港の前だったので
キープしてステーキの代わりに食うことにした。味はともかく肉以外のものが食えてうれしかった。

色々有ったが初日は無事終わった。明日からは本格的なバラマンディ釣りとなる。
ルアーにフックを付け直してバランスを見る作業が
夜半まで続いた。それとタックルの調整である。ショットーロッドを使うのが普通なのだが
システムが40ポンドを1,5mほど使うのでいい加減なシステムではシビアに
キャストしたい時に引っかかって投げにくいのである。そこで通常はPeとの比重差を軽減するために
メインラインに他のPEを三つ編みで50センチほど取り付けてからリーダーと結束する
そうすると結び目が踊りにくくガイドに絡んだりしない。今回は色々悩んだ末に
キャストアウェイの25ポンドとPEジガー8hgの1,5号ー2号を持っていった。これがどの程度通用するかは
不明だったが30-40ポンドを冬場ヒラスズキで散々使っていたのでまあ安心していた。
しかしこっちの魚恐ろしいあごの力である。通常シーバスで使う針では丸められたり伸ばされたりと自由自在に
曲げてくる。狙うのが適当なサイズならそれでいいが全てに対応するなら太い軸のフックとフックファイルは必要である。
そういえば麦茶を水のビンにいれる作業があったウェイパの物価は高い。ただオーストラリア全般に
ぜいたく品は高く設定されてるようである。例えばメーカー品のソフトドリンクなどである。
ゲータレードの1,5lが7ドル約630円近くするのである。日本のマーケットなら間違いなく
豪ドルで2ドル50も出せば変える代物である。財布と同時に健康のことも考えつつ麦茶のパックを
持て行って寝る前に水のビンに入れるのである。甘い飲み物が多い中なかなか重宝した。
3人部屋で既に2人は床についている私だけがテレビチャンネルを回して何かないか見ている常態である。
いつの頃からかテレビの雑音を聞きながら眠る癖がついてしまった。ゲームのせいでもあると思うが・・。
そして老化が始まったのか?翌朝何故か目覚ましより早く目が覚めてしまうのである。